
「県内では知られているんですが、外に出るとまったく無名で」
福井の会社から全国向けの販売についてご相談をいただくとき、最初に出てくるのがこの言葉です。長く地元で商売をしてきた会社ほど、この落差に戸惑われます。
地元向けのホームページと、県外向けのホームページは、作りの前提が違います。何を変える必要があるのかを順番に書きます。
1. 「誰なのか」の説明から始める必要がある
地元では、社名を見れば「ああ、あそこの」と分かってもらえます。県外では、その前提が消えます。
トップページを開いた人が3秒で知りたいのは、何を売っている会社で、なぜそれを任せていいのかの2点です。地元向けサイトは前者しか書いていないことが多いんです。
- 創業年と、これまでやってきたこと
- 誰が作っているのか(顔写真と名前があるだけで印象が変わります)
- 取引実績、取扱店、掲載されたメディア
- 受賞歴や認証があれば、それも
自慢に聞こえないか気にされる方がいますが、知らない相手にとってこれは判断材料です。書いていないと、選ぶ理由がなくなります。
2. 「福井の」を、強みとして書き直す
地元向けには意味を持たなかった「福井」が、県外向けでは特徴になります。ただし、地名を出すだけでは伝わりません。
たとえば「越前和紙を使っています」と書くだけでは、それがどれくらいのものか分からない人が大半です。産地の背景を一言添えるだけで、受け取られ方が変わります。何年続いている産地なのか、どんな工程を経ているのか、なぜそれが良いのか。
繊維関係のお客様のサイトで、商品ページに製造工程と産地の説明を足し、あわせてWeb広告を出したことがあります。同じ商品なのに、販売数がおよそ1.3倍になりました。商品が変わったのではなく、説明が変わっただけです。
3. 送料と納期を、先に見せる
地元の取引なら「持っていきます」で済んでいたところが、全国向けでは物流の条件になります。
- 送料がいくらかかるのか(地域別に書く)
- 注文から何日で届くのか
- 何個から注文できるのか
- 返品・交換をどう扱うか
この4つが見つからないと、そこで検討が止まります。問い合わせて確認するほど、まだ本気ではない——県外のお客様の多くはその段階にいます。
送料を安く見せる工夫より、先に「はっきり書いてあること」が効きます。金額が分からないまま買い物かごに進むのは、誰にとっても気持ちの悪いものです。
4. 検索される言葉が変わる
地元向けなら「福井市 ○○」で探してもらえます。県外の人は地名で探しません。商品名や用途、悩みで探します。
「福井 蕎麦」ではなく「贈答 蕎麦 おすすめ」。「福井 印刷会社」ではなく「小ロット パッケージ 印刷」。お客様が使う言葉に、ページの見出しを合わせる必要があります。
ここは既存ページの書き換えだけでは足りず、用途ごとのページを足していく形になることが多いです。時間はかかりますが、広告費をかけずに積み上がる部分でもあります。
手がかりの探し方はシンプルです。既存のお客様に「どういうときに使っていますか」と聞いてみる。返ってきた言葉が、そのまま県外の人が検索する言葉になっていることがよくあります。社内で考えた言葉より、お客様が実際に口にした言葉のほうが当たります。
5. 問い合わせの受け方を決めておく
全国に開くと、営業時間外の連絡や、電話ではなくフォームやメールを好む相手が増えます。BtoBなら、見積依頼の様式を用意しておくと社内が楽になります。
あわせて決めておきたいのが、受けない仕事の線引きです。小口の注文を全部受けると現場が回らなくなります。最低ロットや対応エリアを書いておくのは、断ることではなく、合う相手に絞ることです。
6. 「知らない会社から買う不安」を消す
県外のお客様にとって、御社は初めて見る名前です。地元での信用は、そのままでは届きません。
信用の代わりになるものを、ページの中に置いておく必要があります。
- 固定電話の番号を載せる(携帯番号だけだと不安に見えます)
- 実際の店舗や工場の写真を載せる。建物と、働いている様子
- クレジットカードなど、複数の支払い方法を用意する
- 問い合わせへの返信目安を書く(「翌営業日中にご返信します」)
- お客様の声を、可能な範囲で掲載する
派手さはありませんが、この積み重ねで「怪しくない会社だ」と分かってもらえます。全国向けに販売するというのは、知らない相手に安心して財布を開いてもらうということなので、ここを飛ばすと数字が伸びません。
順番をつけるなら
- 会社と作り手が分かるページを整える
- 送料・納期・ロットを明記する
- 主力商品のページに、背景と工程の説明を足す
- 用途で探される言葉に合わせたページを増やす
- 広告やSNSで人を集める
5番目から始めてしまうと、来た人が判断できずに帰ってしまいます。受け皿を整えてから人を呼ぶ。この順番は変えないほうがいいです。
自社のどこが県外向けに足りていないのか、迷われていることがあれば一度お聞かせください。Web・ショップ制作のサービスページもあわせてご覧いただけます。





