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福井の農家がネット販売を始めるときの進め方

2026.08.19最終更新 2026.09.09

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福井の農家がネット販売を始めるときの進め方

「ネットで直接売ってみたいけど、何から始めればいいのか」

福井県内の生産者さまから、こうしたご相談が増えています。市場出荷や直売所だけに頼る形から、自分で値段をつけて売る形へ。動機はだいたい共通しています。

ただ、いきなりネットショップを作るのはおすすめしません。順番があります。

段階を3つに分けて考える

  1. 今のお客様に直送する:直売所や口コミで買ってくださっている方に、電話やLINEで注文を受けて発送する。ここで発送作業の実際が分かります
  2. 既存のプラットフォームに出す:産直サイトやふるさと納税。集客を任せられる代わりに手数料がかかります
  3. 自社のネットショップを持つ:手数料は減りますが、集客を自分でやることになります

3から始める方が多いのですが、つまずきやすいのもここです。集客の当てがないまま箱を作っても、注文は来ません。1と2で「売れる形」と「送れる体制」を確かめてから3に進むほうが、結果的に早く回り始めます。

サイトより先に決めることがあります

ネット直販でつまずくのは、ほぼ運用側です。作る前に、この5つを紙に書き出してください。

  • 送料:クール便か常温か。地域別にいくらか。送料込みの価格にするか
  • 箱と梱包材:仕入先と単価。届くまで潰れない形か
  • 発送できる曜日と時間:収穫と農作業の合間に、どう組み込むか
  • 傷んで届いたときの対応:返金か再送か。誰が判断するか
  • 1件あたりの手取り:送料と資材と手数料を引いて、いくら残るか

特に最後の計算は、始める前にやってください。手間の割に残らないと分かれば、単価を上げるか、まとめ買いの形にするか、設計を変えられます。走り出してからでは変えにくいです。

旬が短いものは、予約販売で

福井の農産物には、出せる期間が短いものが多いです。上庄の里芋、越前水仙、若狭の梅、夏のスイカ。収穫が始まってから売り始めると、告知している間に終わってしまいます。

収穫の1〜2ヶ月前から予約を取る形にすると、生産量の見通しも立ちますし、お客様にも待つ楽しみができます。予約のページは1枚あれば足りますし、毎年同じページを使い回せます。

写真と、育てている記録が売りものになります

スーパーに並ぶ野菜と何が違うのか。ネットで買う人は、そこにお金を払っています。

難しく考える必要はなく、畑の写真と、いつ何をしているかの記録で足ります。田植え、草取り、福井の冬に雪の下から掘り出す作業。スマホで撮った写真に一言添えるだけで、他と比べようのない情報になります。毎日でなくていいので、月に2〜3回、続けてください。

加えて、食べ方の提案は購入の後押しになります。保存方法、下ごしらえ、簡単なレシピ。「買ったあとどうするか」が見えると、初めての人が買いやすくなります。

繁忙期の発送を、どう乗り切るか

注文が集中するのは、収穫の最盛期です。そして、その時期は畑がいちばん忙しい。ここが噛み合わないと、発送が遅れて評価が下がります。

対策は3つあります。受注できる数に上限を設ける発送日を週2日に固定して先に告知する梱包だけを家族や近隣に手伝ってもらう体制を組む。どれも地味ですが、ここを設計しておくかどうかで、翌年も続けられるかが決まります。

注文が入りすぎて断ることになるのは、悪いことではありません。上限を先に書いておけば、お客様も納得されます。

もうひとつ、よくある失敗を挙げておきます。収穫期だけ更新して、あとの10ヶ月は止まってしまうことです。買う側から見ると、その店が今も続いているのか分かりません。冬の畑の様子や、来年の作付けの話でいいので、月に1回は何かを出しておいてください。

ふるさと納税をどう位置づけるか

福井県内の多くの市町がふるさと納税に力を入れています。生産者にとっては大きな販路ですが、手数料や自治体側の運用に左右される面もあります。

ふるさと納税で買ってくださった方に、同梱のチラシで自社サイトを案内する。翌年、その方が直接注文してくださる。この流れをつくっておくと、制度の変更に振り回されにくくなります。

補助金が使えることもあります

ネットショップの構築には、小規模事業者持続化補助金やふくいDX加速化補助金が使えるケースがあります。以前、ふくいDX加速化補助金を活用して、ECと受注の流れを一緒に整えた事業者さまがありました。注文を受けてから発送するまでの手作業が減り、売る側の負担がかなり軽くなりました。

ただし、要件も金額も年度によって変わりますので、必ず最新の公募要領をご確認ください。申請しても採択されないことがあります。弊社は企画書へのアドバイスまでは対応できますが、申請そのものは行政書士の業務です。必要であれば、知り合いの行政書士をご紹介します。

まとめ

順番は、既存のお客様への直送、次にプラットフォーム、最後に自社サイト。作る前に送料と梱包と手取りを決める。旬の短いものは予約販売で。福井の生産者にしか書けないことが、そのまま商品の価値になります。

何から手をつけるか、順番を決めるところからでも構いません。

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株式会社KOiKi 代表取締役 中谷 蓉織

代表取締役 中谷 蓉織

福井市を拠点に、Web・広告・グラフィック・パッケージなど幅広いデザイン分野で
16年以上のキャリアを持つクリエイティブディレクター。 企業や店舗のブランディング、Webサイト制作、SNS運用、広告設計など、トータルな集客支援を行う