「ネット販売を始めたい」「電話予約の対応に追われていて、予約システムを入れたい」。そんなご相談をいただいたとき、選択肢のひとつとしてお話しするのがIT導入補助金です。
ただ、この補助金、正直に言うとかなり「クセ」があります。年度によって対象になるもの・ならないものが大きく変わるんです。過去にはECサイト制作が対象だった年度もあれば、対象から外れた年度もありました。ですから、この記事では「仕組みの考え方」を中心にお伝えして、具体的な対象や金額は必ず最新の公募要領で確認していただく前提でお読みください。
私たちKOiKiは商工会連合会から専門家派遣の委嘱を受けており、補助金に関するご相談にも対応してきました。その立場から、良いことも注意点も含めて正直にお話しします。
IT導入補助金の基本的な仕組み
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する費用の一部を補助する制度です。持続化補助金との一番の違いは、「何でも申請できるわけではない」という点なんです。
- 補助の対象になるのは、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が提供する「登録済みITツール」だけ
- 申請は事業者単独ではなく、IT導入支援事業者と共同で行う
- 会計ソフト、受発注システム、予約管理システムなど、業務効率化につながるツールが中心
つまり「近所の制作会社に自由に発注して、あとから補助金をもらう」という使い方はできません。使いたいツールとその提供事業者が登録されているかどうかが、最初のチェックポイントになります。
予約システムは比較的相性がいい
美容室、サロン、飲食店、クリニックなどで使われる予約管理システムは、クラウド型の業務ツールとしてIT導入補助金と比較的相性がいい分野です。登録ツールになっている予約システムも複数あります。
予約システムを入れると、電話対応の時間が減る、24時間予約を受け付けられる、無断キャンセル対策の機能が使える、顧客データが蓄積される、といった効果が期待できます。「電話に出られなくて機会を逃していた」という悩みは、小さなお店ほど切実ですよね。
ただし、補助対象になるのは初期費用や一定期間の利用料までで、ずっと補助が続くわけではありません。補助期間が終わったあとも月額費用は発生し続けるので、「補助がなくても払い続けられる金額か」は導入前に必ず考えてほしいところです。
ECサイトは「年度による」が正直なところ
ECサイトについては、本当に正直に書きます。IT導入補助金でECサイト制作が補助対象だった年度もありますが、対象から外れた年度もあります。制度は毎年見直されるので、「去年できたから今年もできる」とは限らないんです。
ですから、ECサイトを補助金で作りたいと考えている方は、次の順番で考えることをおすすめします。
- まず、今年度のIT導入補助金の公募要領で対象を確認する
- 対象外なら、小規模事業者持続化補助金など他の制度も検討する
- どの補助金も使えないなら、補助金なしで始められる規模から考える
ネット販売は、大きなシステムを組まなくても、既存のECプラットフォームで小さく始める方法もあります。補助金ありきで規模を膨らませるより、小さく始めて伸ばすほうが結果的にうまくいくケースも多いと感じています。
申請の流れと注意点
大まかな流れは次のとおりです。
- gBizIDプライム(電子申請用のID)を取得する ※発行に時間がかかるので早めに
- 導入したいITツールと、IT導入支援事業者を決める
- 支援事業者と共同で申請書類を作成し、電子申請する
- 交付決定後に契約・導入する(交付決定前の契約は対象外です)
- 事業実績報告を提出し、補助金が入金される
ここでも補助金は後払いです。そして、導入後も一定期間の実績報告義務が続くことがあります。申請して終わり、ではない点も知っておいてください。
もうひとつ、パートナーとなるIT導入支援事業者の選び方も大事です。同じようなツールでも、提供する事業者によってサポートの手厚さや申請の慣れ具合は違います。「このツールで自社の何の業務がどう楽になるのか」を、導入前に自分の言葉で説明できるまで質問してみてください。そこに丁寧に答えてくれる事業者なら、申請後の伴走も期待できます。逆に、補助金の話ばかりでツールの中身の説明が薄い場合は、少し立ち止まって考えたほうがいいかなと思います。
まとめ
IT導入補助金は、登録されたITツールを支援事業者と一緒に導入する制度です。予約システムなどの業務ツールは比較的相性がよく、ECサイトは年度によって扱いが変わるため最新の公募要領の確認が欠かせません。採択が保証されるものではないことも、正直にお伝えしておきます。
「うちの場合はどの制度が合いそうか」という段階のご相談でも大丈夫です。お気軽にご相談ください。ネット販売のはじめ方については、EC支援サービスのページもあわせてご覧ください。


