
「ネットショップを作れば、県外にも売れますよね」
福井の小売店さまから、こう聞かれることがあります。売れます。ただし、作っただけでは売れません。ネットショップは店舗と同じで、開店しただけでは誰も来ないのが出発点です。
実店舗とネットをどう組み合わせるか。福井のように商圏の人口が限られる地域では、ここの設計が売上を左右します。
ネットは「二店舗目」ではなく「接客の延長」
ネットショップを新しい店だと考えると、品揃えも運営も一から作ることになり、負担が重くなります。
うまくいっているお店に共通しているのは、既存のお客様が使える窓口として始めていることです。店で気に入ったものを後から追加で買う。遠方へ引っ越した常連さんが買う。贈り物を送る。まずここが動き出すと、運営の型ができます。県外の新規のお客様は、その次の段階です。
全商品を載せないでください
最初にやりがちなのが、店の全商品をネットに上げようとすることです。写真、説明文、在庫、価格。1点あたり30分かかるとして、300点なら150時間です。そして、たいてい途中で止まります。
始めるときは20〜30点で足ります。選ぶ基準は、送りやすくて、単価が取れて、説明で違いが伝わるもの。壊れやすいもの、送料が商品代を超えるもの、色味が写真で伝わりにくいものは、後回しにしてください。
在庫の二重管理でつまずきます
実店舗とネットで同じ在庫を売ると、売り切れた商品に注文が入ります。これはお詫びとキャンセル処理を生み、店の信用を少しずつ削ります。
対策は3つあります。
- ネット用の在庫を店頭と分けて確保する(いちばん簡単です)
- 1日1回、決まった時間に在庫を更新する運用にする
- レジのシステムと連携できる仕組みを入れる(費用はかかります)
店の規模によりますが、最初は1つ目で構いません。仕組みに投資するのは、注文が安定して入るようになってからで遅くありません。
店頭受け取りと取り置きを用意する
福井は車で買い物に行く土地です。ネットで見て、店で受け取る形は相性がいい。送料がかからず、店にも足を運んでもらえて、ついでに他の商品も見てもらえます。
LINEやInstagramのDMで「これ、取り置きできますか」を受けられるようにしておくのも有効です。専用の仕組みは要りません。注文の入り口は、お客様が使い慣れている場所に置くのが基本です。
写真と説明文で、差がつきます
ネットでは、手に取って確かめることができません。その代わりを果たすのが写真と説明文です。
写真は1商品につき4枚を目安に。全体、寄り、サイズが分かるもの(手に持った状態など)、使っている場面。背景は白い壁か、無地の布で統一すると、並べたときに整って見えます。
説明文は、店頭でお客様に話している言葉をそのまま書いてください。素材、産地、作り手、サイズ、手入れの方法、どんな人に向いているか。「誰に向かないか」まで書くと、返品が減り、満足度が上がります。
送料は、先に決めて先に見せる
かごに入れた後で送料が分かる形にすると、そこで離脱されます。商品ページの近くに、送料の一覧か「◯円以上で送料無料」の条件を置いてください。
送料無料の条件を決めるときは、平均の購入単価より少し上に設定するのが定石です。一点だけ買うつもりの方が、もう一点足してくださることがあります。
よくある失敗も書いておきます。売れないからと、商品を増やし続けてしまうことです。見られていない棚に商品を足しても、見られる回数は増えません。まず、今ある20点がどれくらい見られているかを確認してください。アクセスがほとんどないなら、増やすべきは商品ではなく、知ってもらう手段のほうです。
福井県内のお客様が中心なら、Instagramの投稿や、店頭とチラシに載せたQRコードのほうが、検索対策よりも早く効きます。
売れるまでの時間を見込んでおく
ある繊維関連の事業者さまでは、既存のサイトに商品ページを足し、あわせてWeb広告を出したことで、販売数が1.3倍になりました。ただ、そこに至るまでには数ヶ月かかっています。
公開した月から売れ始めることは、まずありません。半年は数字が動かないものとして予算を組んでください。3ヶ月で見切りをつけてやめてしまう例を、何度も見ています。
費用の目安
ネットショップの構築は、55万円前後からというのが弊社の目安です。既存のホームページに販売機能を足す形なら、もう少し抑えられることもあります。福井県内でご相談を受けるときは、まずどの形が合うかから一緒に考えています。
それとは別に、決済手数料、送料、梱包資材、写真撮影、そして人の時間がかかります。作る費用より、続ける費用のほうが大きいという前提で計画してください。
まとめ
ネットは既存のお客様の窓口として始める。商品は20〜30点から。在庫は分けて持つ。店頭受け取りを用意する。そして半年は待つ。福井の小売店にとって、ネットは実店舗を置き換えるものではなく、店の営業時間を24時間に延ばす仕組みです。
どの商品から載せるか、というところからご一緒できます。お気軽にご相談ください。





