「AIでホームページが作れる時代に、制作会社に頼む意味ってあるんですか?」
先日、ある経営者の方にストレートに聞かれました。制作会社としてはドキッとする質問ですが、逃げずに正直に考えてみようと思います。ポジショントークにならないように、自分たちに不利なことも含めて書きます。
先に結論を言うと、「作れます。そして、AIで十分なケースも本当にあります」。ただし、「作れること」と「成果が出ること」は別の話なんです。今日はその分かれ目の話をします。
正直に認めます。AIでホームページは作れます
今のAIツールを使えば、会社案内程度のホームページは短時間で形になります。デザインもそれなりに整っていて、文章も出てきます。数年前なら数十万円かかったレベルのものが、驚くほど手軽に作れるようになりました。
実は私たち自身も、制作の現場でAIをがっつり使っています。コードを書くのも、文章の下書きも、AIの力を借りるのが当たり前になりました。だから「AIなんて大したことない」と言うつもりは全くありません。むしろ逆で、AIの進化は制作会社にとって間違いなく脅威です。
その上で、こういうケースならAIツールで十分だと思います。
- 名刺代わりのホームページがあればいい(検索からの集客は求めない)
- 掲載したい内容が自分の中で明確に決まっている
- 自分でツールを触るのが苦にならない
- とにかく費用を抑えたい
これに当てはまる方は、まずAIツールで作ってみるのは全然ありです。制作会社の人間として、正直にそう思います。
AIが苦手なのは「作る前」と「作った後」
では何が問題になるのか。AIが作ってくれるのは「ページ」であって、その前後の工程は残るんです。
まず「作る前」。ホームページで一番大事なのは、実は「何を載せるか」です。あなたの会社の強みは何か。お客様はどんな言葉で検索するか。競合と比べてどこで選ばれているのか。この整理ができていないと、AIは「どこにでもある綺麗なページ」を量産してくれます。AIは指示されたものを作るのは得意ですが、あなたの会社の中に眠っている強みを掘り起こしには来てくれません。
そして「作った後」。ホームページは公開してからが本番です。私たちが運用を担当している弁護士事務所のサイトは、月2回の定例分析を続けて、半年でPVが20倍になりました。これは「作る技術」ではなく、数字を見て、仮説を立てて、直し続ける「運用」の成果です。AIツールで作ったサイトも、この運用をやるかどうかで結果が全く変わります。
写真と「地域の文脈」も、意外な落とし穴
細かい話ですが、実務で差が出るポイントを2つ。
ひとつは写真です。AIはそれらしい画像を生成できますが、あなたの会社の社屋、働く人の表情、商品の質感は生成できません。そして見る人は、本物の写真かどうかを意外と敏感に感じ取ります。生成画像だらけのサイトは、どこか現実味がなくて、かえって不信感につながることもあります。信頼が大事な商売ほど、実際の写真の力は大きいんです。
もうひとつは地域の文脈です。福井のお客様に響く言葉選び、地元の商習慣、地域名での検索対策。こういうローカルな肌感覚は、汎用のAIツールが一番弱いところだと感じています。地域で商売をする会社にとって、ここは成果を左右する意外と大きな要素なんです。
AI時代の制作会社の使い方
ここまでの話を整理すると、制作会社に頼む価値は「ページを作る作業」から、「何を載せるかを一緒に考え、公開後に改善し続けること」に移ってきています。
だから、こんな使い分けをおすすめします。まず名刺代わりでいいならAIツールで。集客や採用など成果を求めるなら、戦略と運用まで含めて制作会社と組む。途中からの切り替えもできます。「AIで作ってみたけど問い合わせが来ない」という段階でご相談いただくのも、全然ありです。
費用の考え方も変わってきます。AIで作業コストが下がる分は、価格に反映されていくべきだと私たちは考えています。その代わり、戦略づくりや運用改善といった「考える仕事」に時間をかける。制作会社を選ぶときは、「AIを使っているか」よりも、「作った後にどう伴走してくれるか」を聞いてみると、良いパートナーかどうかが見えてくると思います。
まとめ
AIでホームページは作れます。名刺代わりなら、それで十分なケースも多い。ただ、成果を出すために必要な「強みの言語化」と「公開後の運用」、そして本物の写真や地域の文脈といった要素は、AIツールだけでは埋まらないのが現状です。
私たちはAIを恐れるより、使い倒しながら「AIにできないこと」に集中していこうと考えています。AIで十分な方には、正直に「AIで十分だと思いますよ」とお伝えします。どちらの道が合いそうか迷ったら、お気軽にご相談ください。AI活用の実践について書いた記事もあわせてどうぞ。


