
商品説明の欄に、素材とサイズと洗濯表示だけが書かれている。ネットショップを見ていると、こういうページによく出会います。
間違ってはいません。ただ、それはカタログの情報であって、買う理由にはなりません。説明文の役割は、情報を並べることではなく、迷いを消すことです。今日はその書き方を整理します。
お客様が知りたい順番で書く
書き手は商品の説明から始めたくなりますが、読み手の関心はそこから始まっていません。実際に読まれる順番はこうです。
- これは自分向けの商品か(誰のための、何なのか)
- 何が良いのか(他とどう違うのか)
- 本当にそうなのか(根拠、素材、作り方、実績)
- 使うとどうなるのか(暮らしや仕事がどう変わるか)
- 買っても大丈夫か(サイズ、送料、返品、納期)
この順番で並べ替えるだけで、読まれ方が変わります。多くのページは1番目と4番目が抜けていて、2番目と3番目だけが書かれている状態です。
1行目で「誰向けか」を言い切る
冒頭の1行で、対象を絞ってください。絞ると売れなくなりそうで怖い、という気持ちは分かります。実際は逆で、誰にでも向けた説明は、誰にも刺さりません。
- 「軽くて丈夫なトートバッグです」→ 誰の話か分からない
- 「A4の書類とノートパソコンを毎日持ち歩く方へ。肩が痛くならない軽さにしました」→ 自分のことだと分かる
スペックは、意味に翻訳する
数字や専門用語は、そのままでは伝わりません。書いた数字の後ろに「だから何が起きるか」を足してください。
- 「厚さ0.8mm」→「厚さ0.8mm。名刺入れに入れても、ポケットが膨らみません」
- 「撥水加工」→「撥水加工。急な雨でも、さっと拭けば中の書類は濡れません」
- 「福井県産の生地を使用」→「福井県産の生地。40年その織り方を続けている工場でしか出せない張りがあります」
翻訳する作業は面倒ですが、ここが説明文の中心です。スペックは根拠で、意味が価値です。
欠点を書く
売り手が書きたくない部分ほど、読み手は知りたがっています。
- 「濃い色は、最初の数回は色移りすることがあります」
- 「手作業のため、木目や色味は1点ずつ違います」
- 「食洗機には対応していません」
こう書いても売上は落ちません。むしろ、返品やクレームが減ります。そして、隠さずに書いてある店は信用されます。ネットで買う人は「失敗したくない」という気持ちで読んでいるので、都合のいいことだけが並んだページは警戒されます。
使う場面を、具体的に想像させる
商品そのものより、使っている時間を書いてください。
「朝のコーヒーを淹れる10分のために」「出張の前夜、これに詰めるだけで支度が終わります」。こういう一文があるページは、読み終わったときの手触りが違います。写真だけでは伝わらない部分を、言葉が補う形です。
よくある質問を、説明文の中に入れる
問い合わせが来た内容は、そのまま説明文に足していってください。1人が聞いてきたということは、聞かずに帰った人が何人もいるということです。
- ギフト包装はできますか
- 何個から注文できますか
- 在庫がないときはどれくらい待ちますか
- 大人でも使えますか
こうした一問一答を商品ページの下に置いておくと、問い合わせ対応の時間そのものが減ります。
商品名も、説明文の一部です
見落とされがちなのが商品名です。一覧に並んだとき、まず読まれるのはここです。
- 「トートバッグ ブラウン」→ 検索にも引っかからず、中身も伝わらない
- 「帆布トートバッグ/A4対応・肩がけ可/ブラウン」→ 何ができるかが名前で分かる
社内でしか通じない型番だけを並べているページもよく見ます。型番は最後に添える形にして、先頭には人が検索しそうな言葉を置いてください。素材、用途、サイズ、色。この4つが名前に入っていると、検索からも一覧からも拾われやすくなります。
何を書けばいいか分からないときの3つの質問
文章が出てこないときは、自分に3つ聞いてみてください。
- この商品を作るとき、いちばん手間をかけたのはどこか
- お客様から言われて、いちばん嬉しかった言葉は何か
- なぜ他社と同じ値段にできない(または安くできる)のか
この3つの答えは、そのまま説明文の中心になります。特に1番目は、作っている本人には当たり前すぎて省いてしまう部分です。省いた手間ほど、買う人にとっては値段の理由になります。
最後に、長さの話
「長いと読まれない」と言われますが、買う気のある人は読みます。読まないのは、買う気のない人です。短くするのではなく、読み飛ばせるように作るのが正解です。
- 見出しを入れて、拾い読みできるようにする
- 要点を箇条書きにする
- 写真を挟んで、文字が続きすぎないようにする
説明文は一度書いて終わりではありません。問い合わせが来るたび、返品理由を聞くたびに書き足していく。1年経つと、その積み重ねがそのまま強いページになります。上手な文章を目指すより、聞かれたことに答え続けるほうが、結果として売れるページに近づきます。
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