ロゴを変える。言葉にすると簡単ですが、実際にやってみると、これはデザインの話だけでは全然終わらないんです。
私たちKOiKiもロゴを持つ会社ですし、お客様のロゴリニューアルに関わることもあります。その中で見えてきたのは、ロゴ変更とは「会社の中で起きる出来事」だということでした。良いことも、ちょっと大変なことも起きます。
今日は、これからロゴ変更を考えている経営者の方に向けて、「会社の中で実際に何が起きるのか」を先にお伝えしておこうと思います。知っておくだけで、進め方がだいぶ変わるはずです。
起きること1:思った以上に、いろいろな物を変えることになる
ロゴが変わると、ロゴが載っているすべての物が変更対象になります。書き出してみると、想像以上に多いんです。
- 名刺、封筒、伝票などの紙もの
- 看板、社用車のマーキング
- ホームページ、SNSのアイコン、メールの署名
- 制服、作業着、社章
- パンフレット、商品パッケージ、のぼり
これらを一斉に切り替えるのか、在庫がなくなり次第順次切り替えるのか。方針を決めておかないと、新旧のロゴが長期間混在して、かえって印象がちぐはぐになります。デザイン費だけでなく、この「切り替えコスト」まで含めて予算を考えておくのが現実的です。
起きること2:社内から、賛成と反発の両方が出る
正直にお伝えします。ロゴを変えると、社内から反発が出ることがあります。「前のほうが良かった」「なんで変える必要があるの」という声です。
これは自然な反応なんです。長く働いている人ほど、古いロゴに愛着がありますし、自分の仕事の歴史と重なっています。それを急に変えると言われたら、寂しさや戸惑いを感じるのは当たり前ですよね。お客様や取引先から「前のロゴのほうが馴染みがあった」と言われることもあります。変化には、多かれ少なかれ摩擦がともなうものなんです。
だからこそ大事なのは、「なぜ変えるのか」を先に共有することです。完成したロゴを突然発表するのではなく、「会社がこれからこういう方向に進みたい。だから見た目も変える」という理由の部分から伝える。可能なら、検討の途中で社員の声を聞く機会をつくる。このひと手間で、社内の受け止め方は大きく変わります。
起きること3:会社の理念を言葉にせざるを得なくなる
これがロゴ変更の一番大きな副産物だと、私は思っています。
ロゴを作る過程では、デザイナーから必ず問いが飛んできます。「御社の強みは何ですか」「どんなお客様に、どう思われたいですか」「10年後、どんな会社でありたいですか」。この問いに答えようとすると、普段は忙しさの中で後回しにしてきた「うちの会社って何なんだろう」を、真剣に考えることになるんです。
社長の頭の中にぼんやりあった想いが言葉になり、それが形になってロゴに宿る。この過程を社内で共有できた会社は、ロゴ変更をきっかけに社内の空気が少しずつ変わっていきます。単なるマーク替えではなく、「うちは変わるんだ」という共通認識が生まれるからです。
進め方のコツ:外に出す前に、中に浸透させる
ロゴのお披露目というと対外的な発表を考えがちですが、順番としては社内が先です。新しいロゴに込めた意味を社員が自分の言葉で語れるようになってから外に出すと、発信に一貫性が生まれます。お客様に「ロゴ変わったんですね」と聞かれたとき、社員それぞれが理由を語れる会社と、「さあ、なんででしょうね」となる会社。どちらの印象が良いかは、言うまでもありませんよね。
また、切り替えの優先順位も決めておきましょう。お客様の目に触れる頻度が高いもの(ホームページ、名刺、看板)から先に、社内でしか使わないものは後から、というのが基本の考え方です。
タイミングとしては、創業周年、事業承継、本社移転、ホームページのリニューアルといった節目に合わせるのがおすすめです。「なぜ今変えるのか」を社内外に説明しやすくなりますし、どうせ作り直すものと切り替えをまとめられるので、コストの面でも合理的です。特に事業承継のタイミングは、新しい代表の想いを形にする機会として、ロゴを見直す価値が大きい場面だと感じています。
まとめ
ロゴを変えるとき、会社の中では「物の切り替え」「感情の揺れ」「理念の言語化」という3つのことが起きます。大変そうに聞こえるかもしれませんが、この3つにきちんと向き合ったロゴ変更は、会社を内側から変えるきっかけになります。
逆に、デザインだけ差し替えて中身の議論を飛ばすと、コストをかけた割に何も変わらなかった、ということにもなりかねません。ロゴはゴールではなく、会社の想いを載せる器です。器だけ新しくしても、中身が変わらなければ伝わるものも変わらないんですよね。ロゴ変更を検討中の方は、ぜひ「なぜ変えるのか」から一緒に考えさせてください。お気軽にご相談ください。ブランディングに関する他の記事もあわせてどうぞ。


